ヴィンティージ国産スピーカーを聴く №1

第一回 Technics SB-501

プラモに続くシリーズを始めます。

記念すべき第一回目はテクニクスのSB-501を選びました。確か新潟グランド劇場のスピーカーもテクニクスでした。

日本のオーディオ技術はいかなるものだったか。海外のヴィンティージ品だけがもてはやされている昨今、国内メーカーのヴィンティージスピーカーを店主なりに現在ある素材で、もう一度、しっかり聴き込みたいと思い、このシリーズを始めました。

ヴィンティージ国産スピーカーをゴミにしたくない!!

ただ、音は人により、また年齢によっても聴こえ方が全く違いますし、好きな音楽も異なります。あくまで試聴は、モックアップ店内の真空管アンプとCDプレーヤーを使い、店主の好きな音楽でヴィンティージスピーカーを鳴らします。

よろしければ、のぞいて見てください。

試聴はTAOCのオーディオボードを使用します。

スピーカースタンドの受けは山本音響工芸のスパイク受けを使用します。

スピーカースタンドはメーカー不明ですが、細い四つ足の金属製を使用しています。海外製かも? スピーカーは原則スタンドにベタ置きします。さて、スタンドまでセッティングしたのでSB-501の登場です。

スピーカーコードを接続し音出し開始。んー? 右側の高域が出ていない?? アッテネーターを回してもガリ音さえ出ない…ツィーターが切れたのかな。外して導通を測らなくては。

導通あり!! ユニットは大丈夫でした。なお、写真は測定のイメージです。でも、どこかで見たユニット…。

ユニット裏も撮影。EAS-10KH06Sの表示。

これだ!! Technics EAS-10KH20

EAS-10KHは単品ユニットとして販売されていたのです。当店に在庫としてありました。ダイヤフラムはチタンのようです。1970年代で4,200円、高価なユニットでしたね。店主が高校生のころロクハンのP610が5.000円も出せばペアで買えた時代です。

吸音材はグラスウールではなく化繊系かウール系なのか分かりませんが、音への気遣いが感じられる高級品…かな。

試聴用の真空管パワーアンプは嘉穂無線TU-891 6L6シングルアンプ

真空管ラインアンプはK.A.LabのKA-100LNEW 12SN7が使用されています

CDプレーヤーはオーディオ リファイメント CD complete

スピーカーの配置か、店内の特性か、ボーカルが凹むのでスピーカー間にテーブルを配置。この手は意外と使えます。

《試聴後の感想》
第一印象は、とてもフラットな音。まさにテクニクスの音作りでしょうか。密閉箱なので量感ある低域です。

「ドリーミング・ストリーム」・オーボエ(宮本文昭)とハ-プ(篠崎史子)のデュエットアルバムでは、ハープの低域が気持ち良く聴こえました。店主はハープの生演奏を聴いたことがあるので、木の胴が響き出すハープ特有の低域は耳に残っています。このSB-501はで能率が92㏈と非常に高いく、シングルアンプで十分ドライブできました。

5時間聴いてから本格的に試聴を始めたところ、音にコクと言おうか艶が乗っていないことに気付きました。ホールの広がり感はあるのですが、パイプオルガンに高さが出ない。ベールがかかっているような音、これがテクニクスなのか!!

さぁ、どうする…

疑ったのは、RCAケーブル。CDプレーヤー⇒真空管ラインアンプ間はイクソス(日本未発売)で接続。真空管ラインアンプ⇒真空管パワーアンプ間をトーレンスでつないでいました。イクソスはとても暖色で厚い音ですが、トーレンスは意外と相手に好き嫌いがあるケーブルです。ここは経験値、イクソスと同じイギリスのメーカーであるコードを選択しました。

天満敦子さんのCD「祈りⅡ」をかけて、おそるおそるボリュームを上げたらどうでしょう!! パイプオルガンに高さが、天満さんのバイオリンが太く細く響き始めるではありませんか。パイプオルガンの鳴っている位置が2m奥に下がった感じにもなりました。

ケーブル一本で音が変わる。これだからオーディオはやめられない。目をつぶるとスピーカーの存在が消えるほどです。ホールに響き渡るバイオリンとパイプオルガン。いつまでも聴いていたい音です。

音の傾向はどうでしようか。イギリス系に近いのかな?いいや、タンノイやワーフェデールより緻密に音を再現するスピーカーだと思います。ケーブルで音の色付けをどうぞと言っているようです。小さいころから太鼓や笛など天然素材を使った日本古来の楽器の音色を耳に残す「日本人」が作ったスピーカーだと思います。

店内でしばらく試聴を続けます。よろしければ、モックアップへお寄りください。

そして聴いてください、このテクニクスの音を!!