ヴィンティージ国産スピーカーを聴く №18

Technics  SB-10

八月十六日日曜日

禁断のスピーカーに手を出してしまいました。当時、定価は一本十二万円也…今まで真剣に鳴らしていない?? 鳴らせなかったスピーカーの一つでした。でも、今回はSB-2Aを鳴らし切った実績があるからチョロいもんです。しかし、「SB-2A」「SB-10」は全くの別物でした。

スタンドはDS-505で使用した組み合わせで試聴開始です。スピーカーの間隔を少し広く取って!! 心の中では「楽勝、楽勝!!」と思って、古いJazzから聴き始めました。余韻もあるし「SB-2Aと変わりないジャン!!」と、ボリュームを上げるとウルサイのです。中高域がやかましい。天満さんのパイプオルガンは音場が広がりません。高さも出ません。(>_<)

全く(゜o゜)です。な、なんで!! コーラルのスピーカースタンドを使って高さを上げましたが全く変わりありません。途中、アンプも変えてみましたが状況に変わりなし…。スピーカーの下に木製のインシュレーターを挟んで諦めました。

八月十七日月曜日

朝から試聴を続けますが、何を聴いても音量を上げても下げてもダメ…( ;∀;) そのうち、久しぶりの常連のお客さまがご来店。音を聴いてもらうと「テレビの音みたい」と一言。ググってみると、ある方は「平面スピーカーは音が悪い」、「低域が出ない」の評も発見し頭を抱えました。SB-2Aはしっかりと鳴りましたから、平面スピーカーに問題はありません。気付いているのは音圧が高いことだけです。店内で気づきませんでしたが、店外に出るとかなりの音量で「音が漏れて」いるのです。音圧はあるのに音が悪い…。SB-2Aとの相違点はユニット口径の大きさと、ツィーターがリーフツィーターであること、そしてアッテネーターの有無です。

先ず、リーフツィーターを疑いアッテネーターで音圧を下げます。高域が下がるとスコーカー音圧が気になります。続いてスコーカーの音圧を下げます。思い切って高中域を全て絞り低域のみで聴きました。平面スピーカーですから、低域だけでも相当な音圧を感じます。ここで、ひらめきました。能率が同じならば、低域と全く同じ中高域の音圧が出ていると。「ウルサイ」にも通じますし、「低域」が出ないにも通じます。口径が小さいから波動自体は小さいけれど、音圧レベルが同じなら低域と同じ速度で届いている。周波数はネットワークで仕切ってありますが音圧は同じ=「やかましい!!」

早速、中高域のアッテネーターを絞って試聴を開始します。思った通り中高域が出しゃばっていました。中域のアッテネーターは半分近く絞ったのですよ。古いJazzを鳴らしても、音の余韻が現れてきました。天満さんのパイプオルガンも奥行を感じます。ここまできたら、最終手段を試すのみとなりました。「SB-10」を逆さまに設置してみます。

広大な空間が目の前に表れ、天満さんがステージでバイオリン🎻を弾いています。そしてパイプオルガンの重低音ホールの天井まで響き渡ります。もう、(゜o゜) しかありません。とても「目」を開けて聴ける状態ではありません。スパイ大作戦ではありませんが、目隠しをされて観客席と同じ椅子に座らされ、この「音」を聴かされたら、大きなホールに居ると錯覚するでしょう。途中、誰かの咳払いでも録音に入れておけば疑う余地は無いでしょう。オケもいけます!! テクニクスの平面スピーカーの最終型「SR-RX70」は、コァキシャルで発売されていますね。確か「SB-10」の発売から十年近く経ってからです。「SB-10」は正直「未完成」で発売されたのでしょう。理論の実践のみで利益が優先されたのでしょうか。ナショナルも企業ですから…。

「SB-10」の得意技は「Live録音の再生」です。しかし、ソフト毎に中高域の音圧調整が必要となります。また、これを読んで「逆さま設置」にチャレンジする方に注意!! 32キロもありますから、腰やケガに十分気を付けて下さいね。

今回はTechnicsSB-10を紹介いたしました。

次回もお楽しみに♬ (゜o゜)