ヴィンティージ国産スピーカーを聴く №16

Technics  SB-30

テクニクスに戻りました。すみません。安易に「音の良いスピーカーです」と、紹介するつもりでした。しかし、そのような単純なスピーカーではありませんでした…。試聴システムは先回と全く同じです。ユーミンが聴きたくて、試聴はこのCDから。

おおぅ!! ドラムの低域もシッカリしたスピーカー。前述のとおり紹介も最初はチョロいと思いましたが、真剣にこのスピーカーと向き合うと、設計思想まで考えさせられるスピーカーでした。「クロストーク」「白い森の音楽祭」は、清吾さんのサックス🎷も太く聴こえ、「SB-30」の購入時に聴いた印象そのままでした。

しかし、文章で表現するには試聴が足りません。古いJazzの録音を聴くと歪み感を凄く感じて…。「音の良いスピーカーでは無いかも…」と、不安がよぎりました。原点に戻ろうと「天満」さんのパイプオルガンを聴いて目覚めました。

過去、他のスピーカーで聴いた音と違いがないことに気付いたのです。「SB-30」の弦楽器の鳴り方はとても良い感じ。もっと真剣にセッティングして、真剣に聴かなければ!! 先ず、スピーカーの高さが不足していたので店主の耳の高さまで持ち上げました。

おおぅ!! 勢いで「久石  譲」を聴いてみます。弦楽器が厚い音を奏でます。高さが合えば、次に店主の試聴位置です。テーブルごと前に出ます。

確か「SB-30」は9cmのフルレンジです。実測すると金属フレーム幅で9cmです。コーン紙部分の直径は「な、なんと!!」5cmしかありません。超ミニ口径スピーカーなのです。認識が甘かった…(>_<)

こうなれば当然ニア・フィールドでの試聴体制です。スピーカー間隔を70㎝とし、もっとテーブルと店主の位置を前に出します。スピーカーから約1m。※ 黒と銀のデザインがリークと違和感を感じさせませんね。

「ポニョ」の演奏が、厚く深く響きます。奥行、拡がり、楽器を奏でる音質と、申し分ありません。高域はツィターではありませんので、鋭さは無く、また不足感もありません。ソフトの情報が全て音・音楽として再生します。「SB-30」の開発目的は、どこまで音質を保ちながらスピーカーの大きさを圧縮できるか…、小型化できるか!! だと思いました。マイラーにアルミ蒸着したセンタードームを安く見てしまう過ちを犯してしまいます。ニア・フィールドで聴く「SB-30」は日本のメーカーが作る音ではなく、ヨーロッパ系、いや違う「Technics」が目指した「音」そのものではないでしょうか(゜o゜)!!

青年の主張のようですが…恥ずかしい…。あくまでも、ショボイ店主の感想です。この記事を書くにあたり、少しググって他の方の記事も読ませて頂きました。ある方は「ラジカセのような音」と表現され、他メーカーのユニットに換装されていました。また、ある方は「略…きわめて自然な音…略」と「SB-30」を大切にされていました。人の耳の特性、聴き方、音源や装置と全に異なります。もっとも異なるのは「経験」と「感性」でしょうか…。

バッフル板の周囲にはアルミの枠が取り付けられています。デザインもあるでしょうが、内側に角は無く全てRが付けられていました。ある意味「ホーン」の役割も持たせたのでしょうか。「SB-30」は超小型フルレンジですから、最大入力は10Wしかありません。トランジスタアンプでパワーを入れてロックでもかければ、一発であの世へ行くでしょう。入力には十分注意したいところです。

今回は、Technics「SB-30」を紹介いたしました。Technicsのスピーカーは入力が良ければ高品質な音楽を提供してくれる場合が多いです。ただ、時代によっては「デザイン」「高音質と結びつかない場合もあります。スピーカーの試聴は外観にとらわれず、あくまでも「耳」で行いたいですね。手の込んだスピーカーでした。店主

※ Mockupでは全ての在庫スピーカーを試聴できます。ただし、不在の場合もありますので事前に連絡を頂ければ確実です。
※ このスピーカーシステムは完売いたしました ※

次回もお楽しみに♬