ヴィンティージ国産スピーカーを聴く №7

Lo-D  HS-530

2020/5/26

家電メーカー、日立Lo-Dのスピーカーを紹介します。

このスピーカーはオールメタル製の振動板で密閉型3ウェイスピーカーです。

サランネットは残念ながら手に入れることが出来ませんでした。

このHS-530を鳴らすシステムは先回紹介したサンスイと全く同じく、6L6GCのPPアンプとAH!!のCDプレーヤーから始めました。

しかし,これが大きな誤りとなります…

音に金属特有の「にぎやかさ」や「輝き」は殆ど感じません。

金管楽器のサックスはリアルだし、オケの田園も楽器の分離も良く試聴は進みました。

ただ、何かが足りない…、各ユニットが個々に鳴る感じが否めない…、音が前に出て来ない💦

所詮、四十数年前で一本53,000円のスピーカー、こんな音かと思ってしまいました。

スピーカーの設置間隔を狭めて、床に座ったり、イスに座ったり、試聴位置を前後してみたり、試行錯誤を繰り返しましたが、天満さんのバイオリンとパイプオルガンのCDを聴いた時にヒントが見つかりました。

 

今まで聴いたスピーカーの中で、最低の「パイプオルガン」の響き(@_@)

「う~ん」、奥行もオルガンの高さも高低域のパイプもメチャクチャです。

考えられるのは、先回、あまりにもサンスイが鳴らなかったので、RCAケーブルをアクロテックの黒からIXOSの汎用品に交換していました。

先ず、RCAケーブルをアクロテックの黒に戻し再度試聴!!

おおぅ!! 「パイプオルガン」らしさが分かるようになりました。

RCAケーブルの変化が分かるスピーカーであることは、これは侮れない…さらに、アンプをケリーの300Bシングルに交換し再度試聴を開始です。

これが、同じスピーカーであると信じられない鳴り方にHS-530が変貌しました。

解像度も上がり、少しまったりとして、音にまとまりが出たようです。

変わったCDソフトを聴いてみました。

アンサンブルプラネタのロマンス。五人の女性声楽家が歌います。

おおぅ!! ミックスにミックスを重ねた音でしょうが、各声楽家の声が宙を舞うではあーりませんか。ここで、時間切れ翌日に試聴は持ち越しです。

2020/5/27

午前11時過ぎから試聴を開始しました。天満さん、クロストーク、アンサンブルプラネタ等など…

「う~ん」…。もっと良い音は出ないかと、スピーカーの間隔を思いきって広げました。

さしてもう一度、天満さんを!!

おおぅ!! 良いでは、あーりませんか♡ このHS-530独特空間表現。天井高くパイプオルガンが響きます!!

そろそろ、まとめます。

あくまでも、ボロ店長の感想です。

HS-530の持つ、音楽再生力は特筆すべきものです。ソフトに入っている録音を全てあらわにします。つまり、音楽を造る側の意図が分かります。また、潜在能力、ポテンシャルも非常に高く、残念ながらこのスピーカーに接続するアンプやケーブルの能力もあらわにします。こんな音のスピーカー!!と考えるのでは無く、鳴らす機械が悪いのだと自覚が必要です。

鳴り方は、余韻が微妙に少なく感じました。これは、振動板が紙の倍の音速を持つアルミのせいでしょうか。速く届いて速く消えてしまう。そんな感じを覚えました。

また、球アンプではボリュームを上げても、音がバリバリ前に出てる感はありませんでした。

良質のアンプやケーブルを用いて、あまり広くない部屋でスピーカー間隔も広げ過ぎずに、好きな音楽をとことん追求するにはとても良いスピーカーだと思います。好みは分かれると思いますが、一聴の価値があります。能率はカタログ値では92㏈ですが、密閉箱ですから試聴上では90㏈そこそこだと思います。

HS-530、あくまで適度の音量で目を閉じて演奏を探して下さい。そこには、オーディオ愛好家が求める世界が現れるでしょう…。日立Lo-Dの技術はすばらしい!! HS-530は日本のスピーカーと言うより、世界のスピーカーかもしれません。

今回、半導体のアンプでは鳴らしていませんが、日立Lo-Dですから音決めは自社のセパレートアンプでしょう。力で鳴らすとどうなるのでしょうか?? 聴いてみたいですね。

次回もお楽しみに  (´_ゝ`)